M. Marines

マリスポ1面まとめて掲載!


(1) 新チーム誕生! 命名「M.Marines」
 新しい野球チームの名前は、「M. Marines(エム・ドット・マリーンズ)」に!
 2015年12月6日(日)、立川市の焼肉店「東大門」にて新しい野球チームの決起集会が行われた。
 参加者は高野修司、佐藤修治、井上伸司、吉岡徹、小林弘明、汐入勝也、湊孝志、金本俊弘、石橋匠太、堀江裕、飛弾貴範、大村紘司の12名。その他、この日は欠席だったが、池田貞治、石井浩一、田谷敏春、津久井尚人も参加を表明。新たに岸辰也も加わり、総勢17名でのスタートとなる予定。
 Ⅿ・マリーンズ(縦書きの場合の表記)は、高野修司が代表、佐藤修治が監督に就任。代表補佐に小林弘明、助監督に井上伸司、主将に湊孝志を選出し、運営体制を確立した。
 チームのコンセプトについては、決起集会の開始前に配付された質問用紙にてメンバーから意見を募り、集会の最中に高野代表の司会のもと方針を決めた(詳細は2〜3面にて)。
ユニームのデザインは、千葉ロッテマリーンズのホーム用に決定。
 2016年3月のチーム結成第1戦へ向けて、本格的に動き出す。
(2) 佐藤修治監督2月27日挙式!
 2016年2月27日(土)、第一ホテル東京(新橋)にて佐藤修治監督の結婚式・結婚披露宴が執り行われた。
 Ⅿ・マリーンズからの出席者は高野修司代表、小林弘明代表補佐、井上伸司助監督、湊孝志主将、石井浩一、汐入勝也、池田貞治、石橋匠太、佐藤高広の計9名。
 13時から4階で結婚式の後、14時から行われた結婚披露宴では、Superflyの「愛をこめて花束を」の曲に乗り、純白のドレスを纏った新婦とマリーンズカラーのタキシードの新郎が入場。
 言葉に詰まり、「かたまった!」と叫び笑いをとった新郎のオープニング・スピーチに始まり、新郎の高校恩師、新婦の職場上司の祝辞、「SOMEDAY」をBGMにふたりのプロフィール紹介とプログラムが続く。
 お色直しでは新婦がオレンジのドレスに着替え、新婦が参加する和太鼓チームの余興、そしてわれらⅯ・マリーンズによる余興で会場を盛り上げた。両親への感謝のメッセージでは新郎新婦が感極まる一幕も。
 笑いあり涙ありの結婚披露宴。『マリスポ』では2〜5面と裏イチにて総力特集する。
(3) 2016年3月20日 M.Marines発進!
 3月20日(日)9時15分、町田市民球場にてⅯ・マリーンズのチーム結成第1戦が開催された。
 参加選手は上掲の写真のとおり16名。試合前に撮影した写真だが、真新しいユニフォームに身を包み、希望に満ち溢れた表情のメンバーが写り込んでいる。
 試合は、若いながら組織的に野球をしようと試みている礼儀もしっかりとした「アスカ」というチームに5対6で惜敗したが、野球を堪能した爽快さが残るゲームだった。
 出番の多少はともかくとして、全員が出場しそれぞれが持ち味を発揮した。
「チーム結成第1戦」という特別な試合ということで、好プレーも珍プレーも漏れなく記録することを優先させた。
異例の速報号ともなっているが、あくまでも「特別」と捉えてほしい。
 さぁ、お楽しみはこれからだ!
(4) チーム初アーチ! 大村・高野2者連続ホームラン!
 5月22日、チーム結成5戦目にして、ついに初本塁打が生まれた!
 4回裏1死2塁、交代したばかりのリバーナイン柏谷投手から、この日初めて3番に入った大村紘司がセンターのフェンスを超える2ランを放つ。狭いとはいえ多摩市貝取南公園の最奥に運んだ会心の一撃だった。
 大村がゆっくりダイヤモンドを一周した後ではあるが、3分と経っていなかっただろう。
 続く4番高野修司も1ボールの後の2球目を今度は左中間へゆっくりと弧を描くソロアーチ。何と2者連続ホームランとなった。
 ここまで4本塁打を浴びて、0対18。大村・高野の2連発は焼け石に水とはいえ、Ⅿ・マリーンズの歴史を語る上では重要なシーンとなった。
(5) 伸司られない神事! 井上「神ってる」超美技! 勝率5割つかんだ!
 8月7日、横浜サザンクロスとの「初対決」は、猛暑のなか要所で40代のベテランが活躍し、勝利。勝率を5割に戻した!
 ラストシーンはドラマチックだった。8対3で「最終回」を告げられ6回表に突入したが、サザンの最後の粘りで2点差に詰め寄られ、なおも2死1・2塁のピンチ。ここで、打球はフラフラッとセンターの前へ上がったが、井上のダイビングキャッチでゲームセット! ここで打球が抜けていたら同点の場面。値千金の超ファインプレーだ! このワンプレーで1面をゲットした。
 前チーム最後の試合では4番で最後の長打を放った井上だが、新チームでは20打席15打数ノーヒットという「伸司られない」トンネルにはまっている。この日の第1打席ではヒット性の当たりを原本一塁手に好捕され、残念ながらまたしても「初日」が出なかった。
 8月25日に47歳の誕生日を迎えた井上だが、この状況にも、「限界説」は囁かれない。他のチームでは打棒が爆発しているという情報があるからだ。
『週刊ベースボール』の表紙に取り上げられたチームは失速するという「呪い」があるようだが、『マリスポ』は前号の1面大村・高野が引き続き打ちまくっているので、そんなジンクスはなさそうだ。
 守備での1面採用を機に、終盤戦では持ち前の打棒の方でも浮上してくることを期待してやまない。
(6)  飛弾151打席目の草野球初本塁打! 初完封免れた2ラン
 10月16日、飛弾貴範は初めてプレーした多摩市諏訪北公園球場のレフトフェンスをオーバーする初ホームランを放ち、チームの初完封負けを阻止した。
 このゲームのスタートは散々だった。1回表1死2塁でショートの定位置に飛んできた打球をダンブル。2回表にも1死走者なしでショートゴロを捕球するも、今度はファーストへの悪送球。
失点にこそつながらなかったが後味の悪いプレーとして飛弾の脳裏に刻まれる。
 2回裏に迎えた第1打席もあえなく空振り三振。そして、0対5となった4回裏に第2打席。初球は岸が二盗を試み、アシストの空振り。続く2球目を軽く振り抜くと、打球はライナーで弾き飛ばされ、レフトファンスの遥か上を通過していった。
「打った瞬間のことは、何も覚えていません」
 M・マリーンズの前身チームで草野球デビューをしたのが2008年3月30日、19歳のときのこと。初打席でヒットを放つも、サヨナラエラーでほろ苦いデビュー戦から53試合、151打席目で記録した初本塁打。ここまでの3二塁打に加え、新チームで放った4安打はすべて長打。規定打席まであと「2」不足しているが、打率4割4分4厘は逆転首位打者の射程圏内だ。
 メガネをかけた真面目そうな大学1年生が、いまや愛妻もいる28歳。若いのにイブシ銀と言われた男も、パワーヒッターの仲間入りだ。クリーンナップ候補に名乗りを上げた。
(7)  田谷特例首位打者、岸4冠!
 最終戦での2安打で規定打席不足ながら、首位打者を手繰り寄せた田谷敏春。
 打っては打点王&盗塁王、投げては最多勝と最優秀WHIPでチーム最多の4冠獲得した岸。
 高野キング&得点王!
 飛弾逆転2冠!
 大村失速2冠のみ。
(8) 大村初代MMGP受賞も 納会欠席につき主なきカップ……
 2016年12月4日(日)、立川市の焼肉店「東大門」にてⅯ・マリーンズ納会が開催され、MMGP、珍プレー大賞、ベストマッチの各賞を会員の投票により決定した。
 最優秀選手に贈られるMMGPは、大村紘司が受賞(「MMGPプレミアム・インタビュー」を4〜6面に掲載)。
また珍プレー大賞は、11月13日の最終戦終了後の写真撮影でカウントダウンしながらメガネをずり落とした佐藤高広のプレー、ベストマッチは3月20日のチーム結成第1戦・アスカとの試合が選出された(2〜3面の「納会レポート」にて詳報)。
 この納会をもって2016年を無事に締め括った。
(9) ルーキー桜満開! 井上広大鮮烈! 1試合2本塁打
 入団2試合目のルーキー井上広大外野手が4月15日の多摩アウルズ戦で、1試合2本塁打を放ち、さっそく大ブレイクを果たした!
デビュー試合では2タコだった井上広大だが、1回裏、3点を先制した後に迎えた第1打席、2死2塁から右中間を破る2ランを放ち、3打席目で初日。
 第2打席は2回裏2死満塁でサードゴロに倒れるが、4回裏に迎えた第3打席では1死1・3塁からライトの頭を越える三塁打で2打点を挙げる。
 ここまでの激走ですでに足がパンパンのはずなのに、神様は彼にまた激走を求める。
 6回裏、すでに10対0と大量リードで迎えた第4打席、センターの左へライナー性のクリーンヒットを放つ。「おぉ、猛打賞だ!」とベンチから声が上がった次の瞬間、「あ、抜けた!」とさらなる声が! 打球は転々とフェンスまで吸い寄せられる中、井上広大は2塁を回り3塁も蹴る。なんと1試合2本塁打の偉業を達成だ!
 ベンチに戻ってきた井上広大は、「ホームランなんて初めてです」と今にも吐きそうな苦し気な表情で喜びのコメントをした。激走があまりにも辛かったのか、ちっとも嬉しそうではない。
 試合後にカメラを向けたときもさほど嬉しそうではなかった。まだ入団2試合目、周囲に気を遣っていたのかもしれない。職場でもチームメイトの高野代表から、「ハイ、笑って! ガッツポーズ」というリクエストが出ると、満面の笑みがこぼれた。
 メンバー不足、外野手不足のチーム事情から、高野代表の勧誘を受けて、M・マリーンズに入団した井上広大。2月から職場のチーム、M・マリーンズ問わず、高野とともに練習を積み重ねてきた成果が、ここで実を結んだといえよう。まだ桜が残る一本杉公園球場で、期待のルーキーがさっそくそのベールを脱いだ。
(10) 佐藤修治 ワンチャンスに一振り! 7試合連続安打でV打!
「今日ヒットを打てば、チーム記録に並ぶんですけど……」
第1打席で今季初三振を喫して、連続打席安打が「4」でストップした佐藤修治が2打席目を目前にしてつぶやく。
今シーズンは開幕戦でマルチヒットを記録すると、出場2試合目の東京ジェネシス戦でも2打数2安打で2試合連続マルチヒットというロケットスタートを切った佐藤修。4打席連続安打打もすでに2度目。何のことを言っているのかわからず、「何が?」と確認した。
「いやぁ、たぶんだけど」とモジモジしながら、「連続試合安打の記録って『7』だよな? 今日打てば、去年から7試合連続になると思うんだけど」。
 盲点だった。年度跨ぎの記録は見落としがちなので、ありがたい指摘だった。
 そんな会話をしている中で、1点ビハインドの4回表に、気づいてみれば3番佐藤修治の打席には無死2・3塁のチャンスが用意されていた! 初球は見逃しストライク。相手投手の球はスピードに乗っている。速い。しかし、2球目をバットがとらえると、打球はきれいに三遊間を抜けて、レフト前へ向かっていった。
 3塁走者はもちろんのこと、2塁走者池田も悠々のホームイン。逆転2点タイムリーとなった。ベンチでは確かに、「この回で2点取ろうぜ」と声が上がっていた。それがあっという間に現実のものになろうとは。ここまで相手投手のスピードボールにキリキリ舞いしていたのに、四球と敵失で相手からもらったチャンスに、佐藤修治が一振りで試合をひっくり返してしまったのだ。
 佐藤修治はM・マリーンズ初の勝利打点も記録。試合後にはヒーローインタビューよろしく、井上伸司の黄金バットを自分のマイバットのごとく握りしめて記念撮影をした。
 次の試合は、背番号と同じ「8」連続試合安打の新記録がかかる。
 第3代4番打者でもある佐藤修治に、この試合で3タコだった4番打者が「新記録は4番で挑んだら」と声をかけた。
(11) 最終回「9点差」大逆転! 奇跡のサヨナラ
 正直なところ勝利は諦めていた。9点差で迎えた最終回の攻撃。意地を見せて最後に少しは反撃できれば上等と思っていたのだが、奇跡が起きた。     
 7月16日、朝一番の試合でも梅雨が明けた後の日射しは厳しい。この灼熱の暑さが二度と体験できないであろうドラマを演出することになる。
 初回は両チーム無得点。これから起きる乱打戦を予想させない静かな立ち上がりだった。
 この日は両チーム計19個の四球が記録されるが、2回表の先頭打者をサードファウルフライに斬って取った1死後に1つ目の四球。直後の二塁打で先制を許すとバタバタっと3失点。3回表にも3連打などで3失点。計6点のビハインドとなる。
 3回裏にM・マリーンズの反撃開始。石井浩、汐入が連打でチャンスメイク。両者今季初ヒット。サードファウルフライで1死後に池田の二塁打、相手のワイルドピッチ、ボークで計4点。
 2点差まで追い上げたが、4回表に3失点で先発の田谷がKOされる。5回表に「敗戦処理」としてリリーフした佐藤修治もまさかの「2奪三振」などよく投げたが、2死後のエラーから4失点で4対13となる。
9点差で迎えた最後の攻撃。相手投手は先制する前にサードファウルフライを打ったMaに代わる。だが小林が2球ファウルを打った以外は1球もストライクが入らず3連続四球。ここで降板し、サードへ。3番手投手は、反撃を許す前にサードファウルフライを捕ったNagaiだ。
 緊急登板のNagaiは制球が定まらず、3番佐藤修治にストレートの四球で押し出し。まず1点を返した。
 続くのはMaの最初のサードファウルフライを捕球した4番・高野。ストライクが来るようになったので、2―2からスイングするも完全に力負けして力のないセカンドゴロ。この回初めてのフェア打球だったが、イレギュラーでもしたかセカンドが捕球できず2点目(記録は内野安打)。さらにサードへ悪送球の間に、2塁走者池田が生還し3点目。重ねてショートからの返球をセカンドが後逸。それを見た打者走者の高野が二塁を狙うがタッチアウト。点差を考えると無理すべきところではなかったが、その間に佐藤修治がまんまと4点目のホームを踏んだ。「転がせば何かが起こる」というが、何しろいろいろ起きた。
 5点差に迫ったが、走者はいなくなってしまった。しかもNagaiがそこそこストライクが入るようになってきたところで5番井上広大は2―2からファウルで3球粘った後に四球を勝ち取る。この粘りが奇跡へのお膳立てとなった。
 6番田谷、7番佐藤高広も四球でつなぎ無死満塁と再度ランナーをためてチャンスをリメイク。8番石井浩は簡単に2ストライクナッシングに追い込まれるが、3球目がワイルドピッチとなり3塁走者井上広大がホームイン。これで4点差。この後、石井浩はファウルで粘った後に四球を選び再び満塁に。
 本家の引退により、そろそろこちらの使用も「ラストラン」になるが、「足にボルト」が入った汐入に、「ホームランを打てば同点だよ」という声援が飛ぶが、あえなく3球三振。これでツーアウト。
 引き続き、「ホームランで同点」という場面で、このイニング2打席目となる小林弘明が打席に向かう。また四球。これで3打席連続だ。押し出しで3点差。
 今度は「ホームランでサヨナラ」という場面。1番井上伸司は初球見送りストライクの後の2球目をセンターオーバーに弾き飛ばす。1塁走者の小林もこの日3回目のホームイン。走者一掃の二塁打でついに同点!
 この時すでに、グラウンド使用時間の10分前を過ぎていた。通常であればここでゲームセットとなるが、この回が始まる前に緒方主審より「次のコマのチームが来ていないので、イニングの終了までやりましょう」というコールがされていた。
 試合続行。2死ながら同点でサヨナラの走者が2塁、2番池田は3ボールからの4球目に手を出しサードゴロ。「ドロー止まりか」と思いきや、最初にサードファウルフライを打ったMaが降板後サードの守備に就いていて悪送球。次にサードファウルフライを打った井上伸司がサヨナラのホームイン~! 9点差大逆転!【1~3面の内容を掲載】
(12) 佐藤修最高打率5割で首位打者
 最終戦第1打席で安打を放ち、打率5割に!
 初の首位打者に年間最高打率で花を添えた佐藤修治
 井上伸司打点王、井上広大本塁打王と3冠分け合う!
(13) 佐藤修治MMGP制覇! 独走得票で2代目戴冠!
 Ⅿ・マリーンズチーム結成2年目の納会を2017年12月3日(日)、立川市の焼肉店「東大門」にて開催した。
 今回もMMGP、珍プレー大賞、ベストマッチの各賞を会員の投票により選出。
 MMGPは、佐藤修治が初受賞した(「MMGPプレミアム・インタビュー」を2〜5面に掲載)。
 また珍プレー大賞は、11月19日の最終戦にルーキー石原文顕がアンダーソックスを忘れたゆえのスネを出してのプレー、ベストマッチは7月16日に最終回奇跡の9点差逆転サヨナラ勝ちを収めたCube戦に決まった(6~9面の「納会レポート」にて詳報)。
 この納会をもって2017年も無事に締め括ることができたことに感謝したい。
(14) Wシュー10年ぶりのアベック弾
「横浜スタジアムで試合?」という誤報もありつつ開催された4月8日の東京ブルーフェザンツ戦は、守備が乱れ4回表まで毎回失点で0対14。それまでマウンドにいた佐藤修治が4回裏の先頭打者として打席に入った。開幕戦で3打席連続三振を喫し、この日の第1打席も三振だった男のバットから3塁線を破るホームランが飛び出した時、誰もカメラを構えていなかった。
 5回裏、2点を追加し、なおも1死満塁で打席に入ったのは高野修司。前年1割台の不振にあえぎ、開幕戦は3タコ。しかも最終打席は「打てばサヨナラ」の場面での凡退だった。新年度より異動したこともあって、アゴヒゲを剃り落として臨んだこの試合は、第1打席で目標に挙げていたM球でのチーム初死球、第2打席で犠牲フライによる今季初打点を挙げてはいたが、ここでレフトオーバーの満塁ホームランが出るとは誰も思っていなかったのだろう。やはり打った瞬間の写真は残っていない。写真がなければ文字で残すしかあるまい。

 佐藤修治の2打席目、カウントは2ストライクナッシング。「また三振か?」と思い誰もカメラを構えなかったわけではない。先頭打者だったので、ベンチの準備ができていなかっただけである。
 打球が3塁線を破り、レフトの脇も越えて転々とし、佐藤修が2塁ベースを回ったころに、高野が「あ、カメラ、カメラ」と近くにいる金本に撮影を促した。ところが、金本が「どこを押せばいいんですか?」と尋ねているうちに、ホームインしてしまった。致し方ない……と諦めた。上に掲載した写真は、石井浩一がスマホで撮影したもの。そして1面に掲載した写真は、高野が撮影し、佐藤修が「錦織(テニス)っぽくね?」と自ら加工したものだ。
 高野修司の3打席目は、井上伸司が四球を選び満塁で訪れた。「あれ、デジャヴか?」と少しだけ前週のサヨナラ機に凡退したことが頭を過る。
 カウント3ボール1ストライクから内角気味のストレートが来る。バットを振り抜いて打球の方向を見た時に、レフトの追い方から「超えた!」と確信した。3塁へ到達した時にはカットマンにボールを投げたところだったが、「いける」と思いホームへ。クロスプレーにはならなかったが、きわどかったかもしれない。
 この時もカメラがお留守だった。これは1死満塁という状況が関係しているかもしれない。3塁走者湊、2塁走者佐藤修、1塁走者井上伸、ネクストバッターズサークルに渡邊。汐入はスコアをつけているし、2人ベースコーチに行っている。数人しかカメラを持てる可能性がある人がいなかった。えてしてホームランは見入ってしまい、撮影を逃すことが多いものだ。1面写真は、井上監督との抱擁を「やらせ」で撮影したものである。
 1面見出しに「Wシュー10年ぶりのアベック弾」と打ったが、結成3年目のⅯ・マリーンズではもちろん初めてのこと。
10年前、2008年3月30日の前チームでの横浜サザンクロス戦で、まず3番高野修司が小林雄之投手より先制3ラン。逆転された後に佐藤修治(当時の登録名はSAToo)が内藤英臣投手から同点2ランを放つ。このアベックアーチときっかけとして、チームで3・4番に座った2人のシュージを「Wシュー砲」と命名した。ちなみに、この佐藤修治のホームランは左打席によるもの。流し打ちで3塁線を抜くという珍しいヒトコマだった。
 前チームは11年間活動をしたが、その他にアベックアーチがもう1例生まれている。2014年5月10日のSLASH戦。池田貞治が1番打者として先頭打者本塁打。1度逆転された後に佐藤修治が同点ソロを放った。どこか2件とも達成された状況が似ている。違うのは唯一勝ちゲームであること。そして、2本いずれもオーバーフェンスだった。
 Ⅿ・マリーンズで初のアベックアーチは、結成1年目の2016年5月22日、3番大村紘司がセンターオーバー、4番高野修司が左中間にそれぞれオーバーフェンスで放った連続ホームランだった。前チームでの池田・佐藤修のアベックアーチと同様に、貝取南公園球場で達成された。
 そして今回、Ⅿ・マリーンズ3年目にして2度目のアベックアーチが生まれた。
佐藤修は4回までに14失点でマウンドを降りることが決まった直後の一打、高野も14点目を与えるエラーをしていたので、ともに汚名を返上するホームランだった。
 満塁ホームランはⅯ・マリーンズ初。前チームでも11年で2006年4月23日に金本俊弘が放った1本しかない。高野自身は30年目のシーズンで通算25号、4本目のグランドスラムになる。M・マリーンズでは単独キングとなる3本目、前チームと併せると8本目だ。さらに1試合5打点は、昨年4月15日の井上広大に並ぶチームタイ記録でもある。
 佐藤修はⅯ・マリーンズ初アーチ。結婚後初アーチでもある。前チームと併せると9本目。
 通算本塁打でもWシューがワンツーで双璧だ。
 前チームと併せて4例の共通点は、高野、佐藤修のいずれか、3・4番のいずれかが絡んでいること。ホームランを打ったバッターの名前に「司」か「治」がついていること、達成された試合がすべて3〜5月の春ということだ。
頻繁に「前チームと併せて」と記載しているが、これはⅯ・マリーンズ結成となった背景と関係がある。「前チーム」の名称を明記しないのは、解散にあたって不幸な出来事があったため。とはいえ、11年間のさまざまな良い思い出まで抹消したくないという継続参加メンバーの意向もあり、「マリーンズ」の前に「Ⅿ・」を冠した。「Ⅿ・」は前チームのイニシャルからの継続を意味する。
 ちなみに、日本プロ野球で生まれたアベックアーチは、王貞治・長嶋茂雄の106が最多で、山本浩二・衣笠祥雄の86が2位、秋山幸二、清原和博の63が3位である。
 最後に、4月23日に71歳で逝去した「鉄人」衣笠祥雄氏のご冥福をお祈りしてアベックアーチ特集の稿を閉じたい。【1~3面の内容を掲載】
(15)  井上伸司3人目猛打賞! 5打席連続安打で打率7割!
 8月12日、M・マリーンズでは初の東大和南公園球場におけるキングヤンキース戦で、井上伸司が3打数3安打の猛打賞!
いずれも一本杉で記録された2016年4月10日の田谷敏春、2017年4月15日の井上広大に続き3人目の猛打賞達成となった。
 1打席目はレフト方向にうまく運び二塁打、2打席目はライトへ鋭い当たりを弾き返し、3打席目はショートへの内野安打で1塁へ転がり込む激走を見せた。
 年齢を感じさせない若々しいプレーを見せているが、今年8月25日で49歳となり50の大台が目前だ。3月に孫が生まれて以来、打つたびに「おじいちゃん」「ジィジ」という声が飛び交う。今季は監督という重責も担う。それが心の張りとなるかどうかは人それぞれだが、井上伸司の場合は良い方に作用しているのだろう。
 6月28日発売の「週刊少年チャンピオン」にて、名作野球漫画『ドカベン』が45年の歴史に終止符を打ったが、その主人公・山田太郎の甲子園大会通算打率は7割5分、高校通算は7割3厘だった。現実世界では、イチローが高校3年の夏に愛知県大会で6割4分3厘という打率を残している。
 これらの記録と単純には比較できないが、草野球とはいえ井上伸司の打率7割が物凄い数字だということを実感できる例ではあるだろう。
(16) 大逆転ドラマ再演! 今度は7点差 井上伸司満塁一掃三塁打
 M・マリーンズは「デジャヴ」が多い。9月16日の横浜サザンクロス戦で最大7点差をつけられながら、最終回2死走者なしから4点を奪い、逆転サヨナラ!
 昨夏7月16日のCube戦で最終回9点差サヨナラ勝ちの際には、井上伸司が2死満塁から走者一掃二塁打で同点に追いついたが、今回も2死満塁から走者一掃の三塁打とクライマックスシーンが酷似。さらには、サヨナラの幕切れが内野ゴロエラー、最初の走者が四球での出塁、日にちが16日というところまで同じだ。【詳細記事は3面】
 それにしても、またしても井上伸司だ。2号連続の1面ゲット。高校野球の西東京大会も開催される町田市小野路球場での初開催試合。今季開幕戦で引き分けた横浜サザンクロスから今季初安打・初打点を記録している井上伸司だが、この日は第1打席で三振、第2打席も四球。最終回に皆がつないで第3打席目を回してくれなければ、連続試合安打が途切れる寸前だった。
 2018年の井上伸司は、何かを持っているとしか言えない。初孫が生まれたことは、その何かの大きな要因であることは間違いないが、それにしても……。ここまで12打数8安打7打点で打率6割6分7厘。打率・打点の2冠でトップに立った。
 3週間後のブレーブス戦でも最終打席で2試合連続となる三塁打を放ち、6試合連続安打継続中。長打も4試合連続の新記録を達成した。
 この後、どんな記録が生まれるのか、楽しみでならない。
(17) 井上伸司 歴代最多7冠、最高打率.588
 本塁打王トリプルSHU
 佐藤修・高野修・渡邊秀
(18)  超絶! 井上伸司3代目MMGP満票!
 平成最後のM・マリーンズ納会が、2018年12月2日(日)に、毎度おなじみの立川市の焼肉店「東大門」にて開催され、MMGP、珍プレー大賞、ベストマッチの各賞を会員の投票により選出した。
 MMGPは、井上伸司が全投票1位の「満票」で初受賞。ここに至るまでの思いを披露した(「MMGPプレミアム・インタビュー」を4〜8面に掲載)。
 また珍プレー大賞は、渡邊秀・井上広大・石原文顕がとある事情により遅刻した10月7日の一件が最多得票を集めた(2面に投票結果を掲載)。
 ベストマッチは9月16日に最終回7点差を逆転サヨナラ勝ちした横浜サザンクロス戦が選ばれた(3面に投票結果を掲載)。
(19) 帰ってきた堀江裕 4回零封で1058日ぶり白星!
 ついに「背番号11」がⅯ・マリーンズのマウンドに帰ってきた!
 昨年10月7日に復活マウンドに上ったが、その際は「助っ人」という身分を意識してか背番号がついた上のユニホームは着用していなかった。
 2019年、堀江裕が草野球をスタートさせた「平成」という元号が最後となる年に、チームへの正式復帰を表明。その開幕戦の6回表、デビュー戦の相手でもあり、再三助っ人として参戦もしていた横浜サザンクロスに対して3番手として登板。サザンの石川選手は堀江が登板するといつも、「出てきたよ」と叫ぶ。この日もその例に漏れなかった。
 最初の打者もその石川だった。初球ファールの後、3球目捕邪飛に仕留める。続く清野、初対戦となる坂井も投ゴロに斬って取り、3者凡退。2016年までの堀江裕は、荒れ球上等、球威で抑え込むスタイルで常に三振を欲していたが、「帰ってきた堀江裕」は一味違った。
 第2戦となるアダルトリノクス戦では、903日ぶりとなる先発マウンドに立つ。立ち上がりは常にストライク先行。1・2番を内野ゴロで打ち取り、3・4番から三振を奪う(あれ? なぜ4アウト?)。
 2回はエラーとボテボテのヒットでピンチを迎えるが、無失点で切り抜ける。3回は3四球で自らピンチを招くも、得点を許さなかった。最後のイニングと決めていた4回にはヒットを許した打者から三振でリベンジしての3者凡退。1058日ぶりに勝利投手となった。最高の立ち上がりにして、最高の締めくくり。2戦を通じて5イニング連続無失点という安定した投球を見せた。
 昨年30歳となった堀江。右肩痛で投げられない日々を乗り越えてのマウンドは、10代から20代にかけての力で抑えるスタイルからモデルチェンジしていた。
(20) 稲葉瑛己打率6割! 令和初安打&初打点&初マルチ!
 令和初開催となった5月19日のKMSサイダース戦は1回表から一挙6点を挙げ快勝した。
 その火付け役となったのは2番に起用された「背番号5」稲葉瑛己だった。
 後輩の山口幸宣を3塁に置いて、4球目をレフト前へタイムリーヒット。これがチームとしての令和初安打、初打点となった。
 3回表に回ってきた2打席目では、記録はセンターフライエラーだが、まずまずの当たり。二盗、三盗の後で5番佐藤修治のタイムリーで中押しのホームインを果たす。
 3打席目は1死3塁からセンター前へ弾き返し、2本目のタイムリー。これで令和初のマルチヒット達成だ。前週の職場のチームでも3打数3安打の大当たり! いずれもセンター中心のクリーンヒットだったが、その勢いをそのままマリーンズにも持ち込んだ。
 この日の活躍で、打率6割となり、昨年の首位打者・井上伸司と並びリーディングヒッターに躍り出た。
今年の目標に、「MMGPに選出されること」を掲げていた稲葉。正直、「大きく出たな」と思っていたが、いやいや本当に実現しそうな快打連発、俊足さく裂だ。
 ルーキーイヤーの昨年7打数3安打の打率4割2分9厘だったので、正式入団後は12打数6安打で打率5割! 職場でもここ3年に限ると38打数13安打で3割4分2厘なので50打数19安打で打率3割8分! 決してフロックじゃない。今後も稲葉の打撃に要注目だ。
(21)  田谷→堀江ノーヒット・ノーラン リレーで達成!
「あれ? ヒット打たれた?」
「あれはどうですかね……」
 6月23日、梅雨の最中、前日の雨の影響で開催が危ぶまれた江東区猿江恩賜公園球場での初めての試合。駐車場がなく、東京メトロ半蔵門線「住吉」駅から徒歩2分という立地から、電車で来る者も多数いた。
 相手チームはネット掲示板で公募した「カブス」という初対戦のチーム。前夜の雨で中止を決め込んだメンバーがいたのか、試合開始直前にようやく9人揃った。
 先発の田谷はたびたび2死から走者を出すものの、要所は締めてスコアボードに「0」を並べていく。早いカウントから打ってくる打者が多く、ゴロにフライに次々と打ち取って行った。
6回からは堀江裕にバトンタッチ。制球に苦しみながら、こちらも次々とゴロに仕留める。最終回はピンチを併殺で切り抜け、Ⅿ・マリーンズ初のセーブを記録した。
 相手もテンポよく投げ込むコントロールが良い投手で、なかなかホームを踏むことができなかったが、4回裏に2点、6回裏にも2点を挙げて何とか白星をつかんだ。これで新記録の4連勝!
田谷は通算6勝目でチームトップに立った。
 令和初の完封を継投で飾った。……だけではなかった。4回表2死からUFO打球となったピッチャーゴロを田谷が処理できずに出塁させたプレーが、冒頭の「あれ」である。これが「エラー」と判定されたことで、この試合は継投でノーヒット・ノーランを達成したと記録されることになる。
 フェアボールが不自然にバウンドしたために、野手の普通の守備では処理することができずに、打者が安全に一塁に生きた場合は、「安打」が記録される(『公認野球規則』9・05(3))。
今回、田谷が扱った打球が「不自然なバウンド」をしたのか、「普通の守備では処理」できなかったのかが焦点になるが、本人のコメントにより、普通の守備で処理できたと判断し、「エラー」とした。その結果、田谷は5回を無安打無失点のまま、マウンドを降りたことになる。
 6回から何のためらいもなく堀江にスイッチ。今季主戦投手として復帰した堀江については、1年間右肩痛を再発しないようにペース配分しながら起用している。投げすぎ、投げなさすぎにならないようにするために、この日のリリーフは「予定通り」。
 井上伸司監督不在のため、2試合連続で監督代行を務めた髙野はまったく記録を気にせずに継投策を行使した。
 この状況で想起されるのは、2007年日本シリーズにおける中日ドラゴンズの落合博満監督だ。8回まで完全試合を続けていた山井大介投手から岩瀬仁紀投手にスイッチした「あの試合」である。本人が投げられないと言ったとか、たんに勝つための戦略だったとか、いろいろな憶測が飛んだあの歴史的一戦だ。
 今回の田谷―堀江の継投によるノーヒット・ノーラン・リレーは、あくまでも結果的に生まれたものであることは、ここまでの文脈でご理解いただけただろう。最初からノーヒッターとわかっていても、堀江の投球間隔を保つというチーム運営上の戦略を優先させたと思う。
 さらに、もうひとつ「if」を重ねて、堀江の投球間隔を重視する必要がなかったら……田谷続投はあったかもしれない。
 ただ、今回の田谷は、4回を終わったあたりで少しずつバテはきており、5回終了時での降板は非常にすっきりしたものだった。
 スコアブックの表記だけを見た場合、きな臭くなる試合結果だったが、髙野監督代行の奇策でも暴挙でもなかった。
 ネタ的にそうした扱いをした方がおもしろいかもしれないが、この試合で伝えなければならない本質的なところは、田谷と堀江の投手陣がきっちり仕事を果たしたということだ。そしてⅯ・マリーンズは微妙な天候の中でも、きちんと時間に集合し、戦う準備をするという当たり前のことが、できたゆえの結果だった。
(22) 小林特例で率4冠
 山口4冠
 堀江投手3冠
 井上伸2度目打点王
(23) 山口幸宣4代目MMGP接戦制す! 24歳4カ月史上最年少!
 令和初のM・マリーンズ納会が、2019年12月8日(日)に、毎度おなじみの立川市の焼肉店「東大門」にて開催され、MMGP、珍プレー大賞、ベストマッチの各賞を会員の投票により選出した。
 MMGPは、山口幸宣が初受賞。2位堀江裕とは1位票同数だったが、2位票で上回った(「MMGPプレミアム・インタビュー」を2〜5面に掲載)。
 珍プレー大賞は、汐入勝也が体を張ったある夏の夜の出来事が人気を集め、ついにお笑いの舞台に(9面に投票結果を掲載)。ベストマッチは6月23日の「ノーノーリレー」が印象的なカブス戦が選ばれた(8面に投票結果を掲載)。
(24) 5年目にして開幕戦初勝利! 山口幸宣初勝利投手、井上広大4番が決めた
 新型コロナウイルス感染拡大防止の対策として、3月28日㈯から4月12日㈰まで東京都スポーツ施設の使用が禁止された(その後5月末まで延長)。4月5日に高倍率の井の頭恩賜公園を射止めていたが、あえなく中止に……。喜びは束の間となった。
 だが、その直前の3月22日に砧公園にて2020年の令和初となる開幕戦を開催できたのは不幸中の幸いだった。
 世界を震撼させる未知のウイルスへの対応は、各自治体でさまざま。この時点では多摩市と相模原市が使用中止となっていたが、東京都は規制なし。桜がほぼ満開のこの日の砧公園では花見で宴会をする光景が例年通りに見られた。この時点では外での運動は推奨されていたため、予定通りの開催。まさかこの3日後に、小池百合子東京都知事による週末の外出自粛要請が出されるとは、想像もしていなかった。ギリギリのタイミングでの試合だった。

 そんな開幕戦は、MMGP男山口幸宣が昨年の勢いそのままに打って走って投げた。1回表に10試合連続盗塁&得点を達成し先制すると、逆転を許した直後にはフェンス直撃の同点二塁打。4回表の勝ち越し機には三振だったが、ここで打っていたら出来過ぎ。最後は2イニングをノーヒット救援で初勝利投手となった(2〜3面に特集)。
 代わって7回表2死満塁で走者一掃の決勝二塁打を放ち打のヒーローとなったのは、大学の先輩・4番井上広大だった。ここまで3打席に散々だった4番は最後の最後に決めた(12面で詳報)。
(25) 田谷敏春、よっ千両役者! 渡邊の初勝利投手を演出!
 新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で3カ月間の活動休止を余儀なくされたⅯ・マリーンズは、活動再開にあたってそのブランクを取り戻すべく、年内は月2回開催の方針を打ち出した。

 7月5日は雨天中止で出鼻をくじかれたが、翌週7月12日に晴れて活動再開。敗れはしたものの、野球をできる喜びを一身に感じた。
 続く8月9日には2ケタ安打&得点で大勝し、再開幕後の初勝利を挙げる。
 こうして8月23日におなじみ横浜サザンクロスとの「伝統の一戦」を迎えた。
 先発・田谷は右肩が不調だったにもかかわらず、苦心のピッチングで何とか2回を1失点で凌ぐ。2番手は1年ぶりの登板となる渡邊。いきなり井上伸司一塁手のトンネルに見舞われ1点を失うが、4回は無失点で切り抜けた。
そして、劣勢だった流れが、ここで変わった!
 1点ビハインドで迎えた4回裏は2巡目となる1番からの攻撃で、見事なチャンスメイク。まず2死満塁から6番飛弾が同点となる押し出し四球を選ぶ。
 ここで7番田谷が今村投手から2球ファールを打った後、教科書通りのセンター前ヒット! 2者が還りついに勝ち越した。
 昨年初の年間ノーヒットに終わった田谷のヒット&勝利打点は、2018年最終戦のバーステーゲーム以来、636日ぶり。
 最後は堀江が締め、今季初セーブ。そして勝利投手は12試合目の登板で初となる渡邊秀に記録された(2面で詳報)。
(26) 堀江11K 被安打1で1点守り初完封!
 今年の秋は週末に天気が崩れることが多かった。9月は前日までの雨をかいくぐり何とか2試合開催できたものの、10月11日は台風、秋雨前線の影響で雨天中止。
 そして10月25日、ようやく秋らしい爽やかな空の下で実現した試合で、堀江裕投手が1安打11奪三振で完封という快投を見せた。
 3回終了時のベンチで佐藤修治捕手が髙野監督代行に何やら耳打ちする。
「ユウ、ノーヒットじゃね?」
 4回もピンチを切り抜け無失点で引き上げてくると、その会話がヒートアップする。
「球数によってはノーヒットでも交代するからな」「え? 落合?」
 試合後に、堀江は、「ノーヒットだったのは気づいていなかったが、この会話であぁそうなのかなと察した」と語っている。
 ヒソヒソとそんな話題をするとろくなことはない。5回裏の先頭打者にレフト前へ運ばれ、快記録は潰えた。
 だが許したヒットはその1本のみ。1回表に試合開始後5分で相手の悪送球の間に挙げた1点を守り切った。
 M・マリーンズにおいては、2017年4月15日の岸辰也、11月19日の田谷敏春に続き3年ぶり3人目の完封勝利。
 そしてこの日の完封勝利で、堀江裕は「完封の先輩」2名を押しのけ、2つの通算投手記録で単独トップに踊り出る。1つは8勝目となり、7勝で並んでいた田谷のひとつ先を行った通算最多勝利。2つ目は2・52から一気に2・30に引き下げ、岸の2・39を超えた通算防御率だ。
(27) 井上広大 首位打者+4冠
 飛弾2冠 本塁打王&打点王
 堀江投手3冠+打撃初タイトル
 同期でキング分け合う
 山口2年連続得点&盗塁王
(28) 堀江裕MMGP史上最高得票更新!
 新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から会食を控えるという判断により、Ⅿ・マリーンズの2020年納会は、12月6日(日)に、多摩市諏訪南公園球場で練習を実施することをもって代えた。
 参加者は、髙野修司代表、佐藤修治代表補佐、井上伸司監督、井上広大主将、汐入勝也、堀江裕、飛弾貴範の7名だった。
 MMGP、珍プレー大賞、ベストマッチの各賞は会員から前日までの事前メール投票を募るという方式で選出した。
 MMGPは、堀江裕が初受賞(「MMGPプレミアム・インタビュー」を2〜5面に掲載)。
 珍プレー大賞は、佐藤修治のトリプルスチール(24面に投票結果)、ベストマッチは3月22日横浜サザンクロスとの開幕戦が選ばれた(7面に投票結果)。
(29)  井上広大「念願の」緊急初登板
 3度目の緊急事態宣言の発令に伴い、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策として、4月25日㈰から5月11日㈫まで東京都スポーツ施設の使用が禁止された。陵南公園球場で予定していた期間内の2試合が中止を余儀なくされた。
 コロナ禍においては、「できるときにできるだけやろう」という方針で、3月28日と4月11日に多摩市一本杉公園球場での開幕2連戦を開催したが、あえなく連敗スタート。いずれの試合も3投手の継投となったが、2戦目の最後にマウンドに上がったのは、意外な男だった。
「1登板」を今シーズンの目標としていた井上広大が急遽レフトから呼び寄せられたのは、4月11日アダルトリノクス戦の5回表2死1・3塁の場面だった。
 この日2番手として登板していた堀江は毎回先頭打者を塁に出す苦しい投球。この回、ファーストゴロを捕球した汐入がどこにも送球できずに4点目を献上したところで降板を申し出た。
 井上伸司監督と髙野代表の間では、敗色濃厚の展開に、3番手として井上広大初登板の可能性が共有されていた。投球練習7球はまともなボールがいかず、どうなることはと心配していたところ、先頭打者に2球目で死球。だが満塁となった次打者は2ボール、ファールを経てボテボテのサードゴロに仕留めて3分の1を無失点で防御率0・00という結果が残った。
「1アウトとれば終わりでよかったね」と井上伸司監督に声を掛けられると、当人は「まさか、ここで初登板とは」と戸惑いつつも念願の初登板が実現し、喜びが隠し切れない様子だった。
(30)  最多1試合3本塁打! 井上伸司・井上広大・飛弾貴範
 6月13日のブックバレーズ戦でチーム新記録となる3本塁打が飛び出し、今季初勝利に花を添えた!
 まず、3回裏に4番井上広大がレフト後方の木に直撃する「認定」満塁ホームラン。
 続く5番井上伸司が左中間に2者連続となるランニングホームラン。
 5回裏には、「このバッターで試合終了」を宣告された飛弾貴範がライトオーバーのランニング3ランで、「アーチ劇場」を締め括った。
 右へ左へ三者三様のアーチ攻勢で、こちらも新記録のチーム16得点を挙げた(2~3面で詳報)。
 2021年6月13日・ブックバレーズ戦でのホームランショー。チームとして6月初本塁打だったが、一気に3本塁打を重ね4月・5月と並び最多となる。また、諏訪南公園球場での初本塁打でもあったが、貝取南公園球場の「4」に次ぐ2位に浮上。固め打ちは一気にランキングを塗り替えていく。
 佐藤修治投手の「打っていただく投法」でシーソーゲームを続けていた試合に決着をつけたのは、4番井上広大の特大アーチだった。2死満塁からの一発は、3年ぶり2本目となるグランドスラムだ。自身は4年ぶりの通算3号。いずれも高野に並んだ。
 井上広大がビデオの前で吠えた直後には、5番井上伸司がローボールを左中間に運び、全力疾走で5年ぶりとなる2者連続本塁打とした。髙野の47歳4カ月を更新する最年長弾でもあった。また、セカンドを守る選手の本塁打は初。
本塁打の各種記録保持者である髙野は、「バース、掛布の後の岡田」のごとく史上初の3者連続を狙い打席に入るも、あえなくサードゴロに終わる。
 1試合3本目のチーム新記録を塗り替えたのは、最終回の飛弾貴範だった。昨年は柵越え、今度はランニング。2年連続の本塁打は史上初。こちらも通算3号で、3人が並んだ。この3人はすべて同じ守備位置で本塁打を放っている。
試合終了の整列が迫る中、ハニカミながらビデオの前でポーズをとる飛弾。ホームランは何本打っても嬉しいものだ。
(31) 堀江裕直撃弾! 2試合連続は幻
 7月25日の平塚イムゾンズ戦で堀江裕がレフトポール直撃本塁打を放った。
 続く8月22日の東京ジェネシス戦でもあわや満塁本塁打の走者一掃シングルヒット。フェンス下に設置された黄色いラバー直撃だったため、「ホームランではないか」と色めきだったが、判定はインプレーとなり、チーム史上初の2試合連続本塁打は幻となった。
 大谷翔平が「投打二刀流」でメジャーリーグのホームラン王へ邁進する2021年。Ⅿ・マリーンズのエース堀江裕は、ピッチングで苦境が続く中、打撃は好調だ。開幕戦で三塁打、5月の第3戦で二塁打、6月の第4戦ではシングル2本のマルチヒット、そして第6戦と第7戦で「話題の直撃弾」が飛び出した! 
 第6戦の平塚イムゾンズ戦は、佐藤修治が先発マウンドに立ち、3回表を終わって0対5。堀江が先発完投するのは難しい暑い夏の日。勝負よりもゲームの成立を優先した戦略だ。
 3回裏も2死走者なしの場面で2番堀江に打順が回った。2ボール2ストライクから、かなり高い球を強振すると、高い弧を描いてレフト方向に飛んで行った。滞空時間の長い打球をレフトの女性選手が追いかけるが、追いつかない。打球は不自然な角度で方向を変えて地面に落ちてきた。
 状況を把握できない堀江は、2塁ベースを回ったところで立ち止まるが、緒方主審が右手を頭上でクルクル回して、「ホームラン」のジェスチュア!
「草野球で多くの試合審判をしてきたが、ポールに直撃したのは初めて見た」と緒方主審。
 堀江は2年連続本塁打と2017年の井上伸司・井上広大に続く3人目の年間サイクル安打を達成。また、チーム年間最多タイとなった4本塁打がすべて諏訪南公園球場で記録されているのは興味深い。 
実はこのホームランの直前に、地面に落としてカメラが壊れた。吉兆の前の惨事だったということか。
 第7戦の東京ジェネシス戦は、関戸公園球場で開催された。
久保田投手の前に4回2得点で3点を追う展開だったが、5回裏から是枝忍投手に交代。すると、2死後に助っ人・内藤が二塁打を放ち、反撃が始まる。汐入が四球でつなぎ、小林が左中間を破るシングルヒット(前に足にボルトがいたため)でまず1点。宮岡も四球を選び満塁とし、2番堀江に打順が回った。
 堀江は初球から強振。打球はレフトをオーバーし、黄色いラバー直撃の後にフェンスに当たったように見えた。
「直撃だからホームラン?」
 1塁走者宮岡も2塁を回ったところで直撃を確認し、左手を上げてアピールしていた。
だが、緒方主審の判定は、次のようなものだった。
「ラバーは通常の野球場の外野フェンス最上部と考えていたので、ラバーに当たり地面に落ちたと判定しインプレーにしました」
 ホームランではないという判定でも、満塁の走者は2死だったこともあり、全員ホームイン。走者一掃で逆転! だが、堀江はなぜか1塁にいた。
「何で1塁にいるんだ? せめて2塁に行こうよ」
 怠慢走塁を指摘された。走者一掃のシングルヒット……。この手の話題になると、フェンス直撃シングルヒット経験者が語り出し、「3打点なのに怒られちゃうのね」とかばう一幕も。宮岡は、「この1点が後で響いてきそうですね」と予言した……。
 本当のところ、打球はどこに当たったのか。試合後に東京ジェネシスのレフト・小久保ニッチロー選手が証言してくれた。
「ラバーに直接当たった後にネットに当たりました。直撃、直撃って言ってたんですけど」
 このことを試合後にメールで緒方主審に伝えると、次のような返信があった。
「ラバーに当たった後にネットに当たって地面に落ちたのであれば本塁打。申し訳ありません。大変なミスジャッジ。堀江さんには申し訳ないことをしました」
 この「ヒット」で堀江は打率を4割2分1厘とし、首位打者に浮上。打点もトップに並び、もともとトップに並んでいた本塁打と併せ、この時点での三冠王となった。もっとも、ホームランだったとしたら、すべて単独トップのトリプルクラウンだったが……。
 野球にIF(もし)は禁物だが、それでも考えてしまう。
 もし、ホームランと判定されていれば、堀江は初の満塁ホームランでチーム史上初の2試合連続アーチだった。そして最終回は同点で迎えていたので、髙野の同点打はサヨナラ打だったことになる。チーム年間最多本塁打も5本となり、新記録達成だった。また、多摩市の球場では一本杉、貝取南、諏訪南、諏訪北でホームランが出ているので、関戸での初アーチとなればコンプリートだった。
 すべて幻となった……。
 だが、審判を責めるのは厳禁。審判は絶対だ。そして審判も人間だもの、ミスもある。ましてや草野球にビデオ判定を義務づける制度はない。たとえ誤審だったとしても、これもまた野球の一部と捉えるしかない。

 
(32) 湊Ⅴ打! 記録づくめ! 1試合4盗塁新記録 5打席連続&1試合4出塁タイ
「なんて日だ!」
誰かのギャグを紹介したいわけではなく、10月24日のブックバレーズ戦で湊孝志が残した結果を並べてみたら、そうつぶやきたくなった。
 1回裏の第1打席は四球を選んだ後、二盗に成功。
 2回裏の第2打席は、同点で迎えた2死満塁で訪れた。初回は1死満塁から無得点だったので、ゲームの流れを引き寄せる大事な場面だ。ここで湊はレフト方向へうまく流し打ち、2点タイムリーで勝ち越し、すかさず二盗も決めた。この一打をきっかけとして一挙8点のビッグイニングとなり、勝利を確実なものとし、5年ぶり2度目の勝利打点を掌中に収めた。
 これだけで1面採用は決まっていた。だが、スコア整理をしてみると出るわ出るわ、記録の数々。
「湊くんは前の試合で流し打ちのヒットを打ったが、凡退のレフトフライも内容がよい」という髙野代表の進言を井上伸司監督が採用し、3年ぶり8試合目の2番起用が見事に当たった。
「タカ(湊)は俺が大阪で発掘した逸材だ」という佐藤修治のスカウト自慢も紹介しておく。
 第3打席も四球。本来ならば時間切れでなかったはずの第4打席も四球。これで1試合4出塁と前試合から続く5打席連続出塁のタイ記録、さらに、二盗、三盗を決め、1試合4盗塁の新記録を達成した。チーム10盗塁も新記録だ。
 最後の三盗は、二盗の際に捕逸があったのに3塁を狙わなかったことをベンチから咎められた直後に記録したものだ。
 すべてが湊の記録につながるように仕組まれていたかのような展開だった。
(33) 井上広大三冠王+3 通算獲得タイトル数もトップに!
 最終戦3の3全長打!
 2年連続首位打者&通算本塁打単独トップ弾&年間最多打点新記録
(34) 井上広大MMGP家族でつかんだ栄冠
 Ⅿ・マリーンズの2021年納会練習が、12月5日(日)に、2年連続で多摩市諏訪南公園球場において実施された。
参加者は、髙野修司代表、佐藤修治代表補佐、井上広大主将、汐入勝也、堀江裕、飛弾貴範の6名だった。
 MMGP、珍プレー大賞、ベストマッチの各賞は会員から前日までの事前メール投票を募るという方式で選出した。
 MMGPは、井上広大が初受賞(「MMGPプレミアム・インタビュー」を2〜5面に掲載)。
 珍プレー大賞は、佐藤修治の女性選手を3塁牽制刺(24面に投票結果)、ベストマッチは最終戦11月28日東京ジェネシス戦が選ばれた(7面に投票結果)。
(35) 史上初開幕2連勝! 佐藤監督が演出 完投目前堀江投手から小林投手復帰劇
 佐藤修治監督が第2次政権のスタートを史上初の開幕2連勝で飾った。
 開幕戦を昨年の投手3冠・宮岡駿投手で白星発進すると、2戦目は好投する右のエース・堀江裕があと1人で完投勝利の場面で、まさかの小林弘明投手5992日ぶりの復帰登板を演出。独自のセンスで組む打順もかみ合い、チームメイトからも絶賛の声が上がっている。
 新庄BIGBOSS風の話題づくりを実行させながら、勝ち切る。安倍晋三元首相の第2次内閣が長期政権となったイメージとも重なり、佐藤修治第2次政権も長期化の予感がする。
(36) バースデー当日の拓斗が初先発初勝利、前日がバースデーの堀江がノーヒット救援の完封リレー
 拓斗が22歳の誕生日に初先発マウンドに立ち、4回無失点で初勝利を挙げた。それにとどまらず、打っても初の4番(第6代)で勝利打点となる先制三塁打を含むマルチヒット。特に三塁打は……詳細は後ほど。
 6月5日は話題満載の「拓斗デー」となったが、拓斗を強力にアシストしたのは前日4日に34歳となった堀江裕だ。4回裏の第2打席は二塁打で先制機を作り、5回からはノーヒットリリーフで拓斗の初勝利をキープし、一回り上の先輩が好助演。
第1志望の就職内定も決まった新星・拓斗とともに、堀江が無敗佐藤マリーンズを牽引する。
(37)  山口幸宣パパ初アーチ
 人数不足で試合成立が危ぶまれていた7月10日、前日に急遽参加を表明! それだけでも「救世主」と崇められていた山口幸宣がホームランを打った。
 4月24日以来、今季2試合目の出場だったが、その間にパパになっていた。5月20日、長女・澪月(みつき)ちゃんが3148㌘48・8㌢で誕生していたのだ。
 1番ショートでの出場は、もちろん前回の試合以来の運動だ。第2打席、2死走者なし2ストライクからライトオーバーへ放った大飛球は文句なしのランニングホームランコース。新米パパは運動不足で苦し気な表情ではあったが、何とかホームイン。山口幸宣の人生初ホームランはパパ初試合初打数で飛び出した。
 M・マリーンズ85打席目の初アーチは、前試合の井上伸司に続く今季チーム2本目の本塁打。宇都宮へ転勤中でさらにパパになり、多くの参加は望めないが、規定打席不足でのホームラン王の可能性が出てきた。
 9人目として名乗りを上げての参加でホームランを打つ!澪月ちゃんのパパはカッコいいね!
(38) 井上広大満塁弾! 通算5号キング独走
 4番井上広大が10月16日のHIGH FOREST戦で昨年に続き満塁本塁打を放ち、通算5号。通算塁打でも「70」とし、トップに並んだ。
昨年の三冠王が実に3カ月、13打席ノーヒット。とはいえ、極度のスランプというわけではない。その内訳は4打数9四死球(4死球)。直前も4打席連続四死球だった。
「なんか打たせてもらえないんですよね」
 相手チームが「井上広大は昨年の三冠王」と知っているわけでないはずだが、体格、構え、スイング、醸し出す雰囲気が投手の手元を狂わせるのだろうか。
 前の試合で2打席連続死球を受けた際には、「メガネをしている人に当ててしまう」と相手投手が漏らしたが、サングラスも威圧感を与えているのかもしれない。
 相手のHIGH FORESTは、この秋から八王子の3部に新規加入し、3連勝でベスト8入り。次週に準々決勝を控えている若手強豪チームだった。
 「大会前の調整として、速い球を投げる投手を1イニング投げさせていただけますか?」
試合前に依頼した渡邊耕助その人がマウンドに立っていた。初回にいきなりM・マリーンズが5点先取する展開だったが、すでに逆転しリードを6点に広げたところで2イニング目も登板。変化球主体のピッチングに切り替えたところ、打ち込まれ無死満塁。
 ここで4番井上広大が打席に入った。変化球を2球続けたところで、バットが唸りを上げた。打球は右中間を破り、悠々グラウンド一周。
 2年連続のグラウンドスラムに、「やっと打てた!」と4番はかみしめるように呟いた。
(39) 拓斗新人最多5冠 史上初! 首位打者&最多勝
 拓斗がルーキーイヤーとしては最多となる5タイトルを獲得した。今までの最多は師匠・井上広大の「3」(2017年)。
また、史上初となる首位打者&本塁打王の2冠と最多勝を同時受賞。過去に投手タイトルと打撃タイトルを同時受賞したのは、本塁打王が2020年の堀江裕、打点王は2016年の岸辰也に続く3例目だが、首位打者とは初となる。
 スラッガー系のタイトルで強さを見せたのは井上伸司だ。本塁打王、打点王の主要2冠に加え、最高長打率・最高OPSの計4冠を獲得した。
 昨年の三冠王・井上広大は、史上初の2年連続となる本塁打王と最高出塁率を受賞。
 堀江裕は2年ぶりに最優秀防御率と最優秀WHIPの投手2冠を奪還。
 その他詳報は2~4面にて。
(40) 拓斗MMGP新人初、珍プレー大賞W受賞も初
 Ⅿ・マリーンズの2022年納会練習が、12月11日(日)に、3年連続で多摩市諏訪南公園球場において実施された。
参加者は、髙野修司代表、井上伸司代表補佐、小林弘明代表補佐、汐入勝也、田谷敏春、奥田悠人、堀江裕の7名だった。
 MMGP、珍プレー大賞、ベストマッチの各賞は会員から前日までに事前メール投票を募るという方式で選出した。
 MMGPは、拓斗が新人初の受賞(「MMGPプレミアム・インタビュー」を2〜5面に掲載)。
 珍プレー大賞は、拓斗、井上伸司、堀江裕のトリプルプレー(24面に投票結果)、ベストマッチは2年連続で最終戦の東京ジェネシス戦が選ばれた(7面に投票結果)。

 納会練習を欠席した拓斗へのMMGPカップ授与は、在学中の玉川大学で行われた。前年MMGP受賞者が同じ場所に勤める井上広大だったから実現したイベントだ。
 卒業論文の執筆が大詰めの拓斗は昼休みに冬晴れの空のもと現れ、MMGPカップを受け取った。 
 MMGPが新人初ならば、珍プレー大賞との同時受賞も史上初だ。2022年は最年少・拓斗の独壇場だった。
(41) 井上広大サヨナラ打 開幕戦でWBCinメキシコ戦再現劇場
 第5回WBCを日本が制した3月22日。直後の26日に予定していた開幕戦は、前夜に判断できるほどの激しい雨のため中止。
 開幕戦は4月9日、多摩市一本杉公園球場でのレッドリバ―ズ戦にスライドした。昨秋初対戦予定も中止になった相手との初対決は逆転の応酬となる熱戦の末、WBC準決勝のメキシコ戦を彷彿とさせるサヨナラゲームでM・マリーンズが制した。2023年は2年連続となる開幕戦勝利で好スタートを切った。
(42) 井上伸司サヨナラ劇 世にも奇妙な物語
 5月21日の横浜サザンクロスとの通算15試合目の対戦で、2度目のサヨナラ勝ち。対戦成績を8勝5敗2分けとした。
この試合は何やら奇妙な結末となった。いや始まりから奇妙だったかもしれない。先発マウンドには佐藤修治。サザンは石川哲。いずれも15回目の対戦にして初先発だ。ともに主戦投手の先発を回避したため点の取り合いになるかと思いきや、走者は出るも得点には至らずの繰り返し。
 佐藤修治は7回2死まで無失点であわや完封勝利の怪投と思いきや、そうはならず同点に追いつかれる。
 2対2の同点で迎えた7回裏、無死2・3塁。「自らのバットで決めてやる」という気魄で4球連続ファールした6番髙野だが外角へワンバウンドで外れるボールはカットできずにあえなく四球。悲願のサヨナラヒットならず。
 続く飛弾も3ボールから強攻も浅いレフトフライで1死。
 体調不良で8番に入った井上伸司が1死満塁のサヨナラ機に打席へ。あっさり初球に手を出し、セカンドゴロ。セカンド井島は1塁へ送球。主審・深澤は「アウト」と手を上げるが、この間に3塁走者井上広大が勢いよく滑り込み、サヨナラのホームイン! 今季早くも2度目のサヨナラ勝ちだ!
 これで2年連続開幕4連勝。昨年は1引き分けを挟んだが、今季は開幕4戦全勝。史上最高記録継続中だ。

 この場合、記録はどうなるんだ? 直感的にはフィルダーズチョイス(野手選択)と判断するが、何かしっくりこない。「公認野球規則」の「安打」に該当するプレーでもない。何気なくGoogleで「野球 サヨナラ内野ゴロ」と検索したら、以下の見解に辿り着いた。
 セカンドゴロを捕球した井島が1塁に送球し打者走者をアウトにする間に得点し、試合終了となった今回のケース。3塁走者がスタートを切っていた場合には「安打」となる。つまり、3塁走者井上広大がスタートを切っていたかどうかが判断基準ということだ。井上広大はセオリーどおり井上伸司が打ったらゴーしている。つまり、この場合は「安打」を記録するというのが日本野球連盟の示す内規にあるのだ。
 アメリカでは「サヨナラ内野ゴロ」とする解釈のようだが、ここは日本。「サヨナラヒット」と認定。
 ちなみに打点は、野選、内野ゴロ、ヒットいずれの場合でも記録される。
 アウトだったら10打数2安打だった井上伸司だが、これで10打数3安打。3塁走者井上広大の好スタートが井上伸の打率を1割引き上げた。シーズン終盤にどう影響するか注目だ。
(43) 石橋圭佑お待たせ50打席目で初安打
 優勝が決定したかのような歓喜のシーンが真夏の一本杉公園に出現した。
 8月27日、2ヶ月ぶりの試合となった横浜サザンクロス戦、石橋圭佑がデビューからちょうど2年11ヶ月の1065日目、20試合目の出場で迎えた50打席目に待望の初安打を放った。
 5回表、横浜サザンクロスのマウンドに5月にも対戦した石川哲投手が上がる。前回は四球とショートライナー。「初安打は近い」と皆が確信していた。今回は3ボールからの4球目、ハイボールを強振。打球はレフト線のフェアゾーンに落ちる。セカンドまで夢中で走り、二塁打とした。
 2塁ベース上でバンザイして喜ぶ石橋。その時、タイムをかけて石川投手へ戻ってきたボールを要求する男がいた。
佐藤修治だ! 誰かがサヨナラヒットを打てば、いの一番へ駆け寄り、メモリアルフォトに写り込む目立ちたがり屋だが、今回は初安打の記念ボールを石橋に渡すためのクールな演出だった。
「バッシーが初安打を打ったらよほどのことがない限りは」と宣言通りの1面。そのために用意したのは、記念ボールを手に一本杉のスコアボードをバックに撮影した写真だ。2023年「真夏の大冒険」は、石橋のためのフレーズとなった。
(44) 奥田悠人認定弾! 初タイトルへ一撃
 9月10日のストーンフィールズ戦で奥田悠人が今季チーム7戦目にして初本塁打を放ち、本塁打王の有力候補に躍り出た。残り試合で2本塁打する者が出なければ入団2年目で初タイトル獲得となる。
 陵南公園球場は2面あり、いずれもレフトはフリー。ライトはA面が木の植え込み、B面にはフェンス。この日は木の植え込みを越えたら認定本塁打となるA面での試合だった。
 珍しく2コマ目の試合だったため、駐車場対策で早めの集合をしていた奥田と井上伸司は、ライトまでの距離を見ながら、「このくらいなら越えられますよね」などと話していた。井上伸司はB面でフェンス越えの経験がある。
 試合後に、「予告ホームランになったね」と声を掛けると、「あれは井上伸司さんなら越えるという話をしていたんですよ。まさか自分が打てるとは思っていませんでした」と嬉しそうに語った。
 それでは、歓喜のシーンについて振り返ってみよう。
 1対3と2点を追いかける4回裏、2死2塁で打席に入る。5球目にショート内野安打でマルチヒットを達成した佐藤修治が三盗。3ボール2ストライクとなったところで、ファウルフライを打つ。左打席にいる奥田は1塁側へ追おうとするキャッチャーの邪魔となり、ノーキャッチ。守備妨害にはならず。そして、次の球を振り抜いた。
「いった、いった」とベンチは本塁打を確信。その言葉通り、ライトの指定ラインを越えていった。
 同点2ラン! ゆっくりダイヤモモンドを周り、ホームイン。先にホームインした3塁走者の佐藤修治はなぜか奥田とタッチせず、背後に回って歩いて行った(写り込みを狙ったか?)。
(45) 井上がっぷり 伸司首位打者&最多安打&アシスト王 広大打点王&最高長打率&最高OPS
 井上伸司と井上広大がそれぞれ3タイトルを獲得した。MMGP争いがっぷり四つの様相を呈している。伸司は安打、広大は打点で年間最多タイ記録を達成。
 本塁打王は奥田悠人が初戴冠。
 髙野修司は年間最多新記録で2年連続盗塁王と7年ぶりの得点王も併せ2冠。
 最終戦で規定打席到達の池田貞治が7年ぶりの最高出塁率、規定投球回到達の田谷敏春は最優秀防御率とWHIPの投手2冠を手中に。
 その他詳報は2~4面にて。
(46) 井上伸司MMGP 初の「2度目」は「1点差」
4年ぶりの飲食を伴う開催となったM・マリーンズ納会が、2023年12月10日(日)に、国分寺市の「ハル・ダイニング」にて開催され、MMGP、珍プレー大賞、ベストマッチの各賞を会員の投票により選出した。
MMGPは、井上伸司が史上初となる2度目の受賞。2位井上広大とは1点差というきわどい選出だった(「MMGPプレミアム・インタビュー」を2〜6面に掲載)。
珍プレー大賞は、石橋圭佑が最終戦に砂まみれとなった甲斐があり初受賞(28面に投票結果を掲載)。
ベストマッチは4月9日の開幕戦でサヨナラ勝ちしたレッドリバーズ戦が選ばれた(7面に投票結果を掲載)。